2010年1月1日金曜日

家族狩り(第1部~5部)

天童荒太



内容(「BOOK」データベースより)

高校教師・巣藤浚介は、恋人と家庭をつくることに強い抵抗を感じていた。馬見原光毅刑事は、ある母子との旅の終わりに、心の疼きを抱いた。児童心理に携わる氷崎游子は、虐待される女児に胸を痛めていた。女子高生による傷害事件が運命の出会いを生み、悲劇の奥底につづく長き階段が姿を現す。山本賞受賞作の構想をもとに、歳月をかけて書き下ろされた入魂の巨編が、いま幕を開ける。



感想

山本周五郎賞受賞作「家族狩り」をもとに生み出された新作長編。読み進むうちに小説ではなく現実にそれも毎日起きている事件、それは親殺しであったり、いじめによる自殺だったり・・・虚構の世界ではなくなっている事に一番怖さを感じてしまった。
悩み事相談所を主催する元夫婦だった男女が問題の家族をゆがんだ「愛」の名の元に殺して行くくだりはいただけないが、あとは誰もがもはや小説の世界と気楽に読んでいられない、つらい展開が5冊に収められている。
いつから日本はこのようなゆがんだねじれた社会になってしまったのだろう・・・。
心が壊れていく・・・これは注射や薬で治るものでなく、どうすれば本来の精神を取り戻せる社会に出来るのだろう・・・。
5冊読み終えても答えは出ない、ただ目を逸らさず現実に起きている悲しい事件について考えなくてはいけないのだろう。